16、裏の真実

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一週間後、花屋の店長さんに全てを私は打ち明けた。 「笑ちゃん、恋愛は色々な事情が重なりあって、運命的に出会うもので、当事者しか分からない気持ちで動くものよ。確かに秘密の彼は、結婚していたことを嘘付いていたけれど、あなたを愛してるのは真実だと思うの。今は奥さんに自分の気持ちが家族に向いてない事が明らかになってしまった詫びとして、奥さんの要求通りにしている。けれど彼の本心は彼しか分からない。それを、あなたは彼の口から聞かなくてはいけない。まずは、そこからどうしていくかじゃない?」 「...はい...でも、もう二度と会えないと思います。っていうか、会ったら殴る...かな」 「私も離婚して、不倫も愛人も経験してるから。恋愛って色々あるから。でも純粋な気持ちで彼が好きなら、無理して忘れる事はないと思うわ。彼には家庭があって、その場のやるせない彼の思いも、彼の中身は全て笑ちゃんのモノになる関係でもいいじゃない」 「私はそんな風穴みたいな関係は嫌です。しかも自分以外の誰かと居ると想像しただけで、みっともないくらい嫉妬しちゃうし、何よりも辛いんですよ...できる事なら会いたくない」 「彼の本心は知らなくてもいいの?」 「連絡なんて取りようもないですよ。携帯電話も解約させられて、真っ直ぐ家に帰らさせられて、おまけにいつも三人で居るとこの、どこに入り込める隙があるんですか?」 私は、少し投げやりに言ってしまった。 「でも最後のメールで、温泉は行く今は我慢してって、別れる愛人にそんなメールするかしら?」 ううっ!...うむむっ。 「店長さん、ワガママで申し訳ないのですが、私は本当にもう何もかも捨てなければ、前向きには進めません。もう今月いっぱいで勘弁してください、お願いします」 「とりあえず、保留ね。元気になったら連絡ちょうだい」 身の入らない人間は要らない。 そう簡単に言ってた店長さん。 必要としてくれてる気持ちに、胸をうたれた。 喫茶店のママにも同じことを言われた。 でも、流が来るかも知れないから、残念だけど辞めた。 時夫には、一先ず実家で過ごすから、しばらく家を空けるとだけ伝えた。 時夫の件と流の件は、別問題。 しかし、今は流への辛さで頭の中がパンク状態だから。落ち着いたら、時夫に別れると告げる事にする。 私は実家に戻る準備を着々と済ませていた。 もちろん、もう此処へは帰ってこないつもりで。
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