出会い

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彼女は父性に飢えていた 父親は小さい頃から単身赴任ばかりで なかなか家に戻らず 家に帰ってもまたすぐ出て行ってしまう為 幼少の頃の父親との記憶があまりなかったらしい そのせいか、大分おじいちゃんっ子だった 訪問して一通りの説明を終え、テストの解説が終わった後の会話は 彼女は最初勉強の事を話していた 塾には行きたいと思った事はあるけどいった事がないとかなんとか しかしそこから段々と話が脱線して行き 家庭の事や進路の悩み、その他の事など契約と何の関係もない、身の上相談とかで 次第に話の雲行きが怪しくなってきていた この段階で下手に話を長引かせると契約に結びつきにくいという 事前の指導があったので半ば強引に話を戻して母親を呼んでもらう事にした 夕飯準備の最中の母親が玄関に戻りここまでの経緯をかいつまんで説明し 彼女の意気込みを母親の目の前で伝え 最後に親から本人にやりたいかどうかの質問をさせ 本人に「やりたい」と言わせれば晴れて契約になる その時もその流れで話が進み 母親から本人に質問をさせる流れで話を誘導し その質問に対して、予想通りというか何と言うか 本人がやりたいといったので 晴れて契約となった 受験を控えた子供を持つ親にとってみれば、勉強をやりたい!と子供が言えば嬉しいに決まってるし この状態になると家計に問題さえなければほぼ契約は取れたも同然となる 営業が契約を取ると その子供は自分が担当となる 勉強は教えられないが、勉強以外のフォローをする事になる 事務所に隣接した教室で勉強を教える人はきちんとした大学卒の教員免許を持った人で 質問とかはその人が受け付け
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