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井上side
「…って誰も聞いてないわあはは。つかこれ掻き消されてない?狂喜乱舞の叫び声で。」
所は春野学園の放送室。
放送のマイクのスイッチをきっちりオフにしたのち、俺はたった今終えた仕事の手応えのなさを誰に言うでもなく口に出した。
「おー、丁度お前の自己紹介あたりから生徒会が舞台に出てきたから、そこらへんは特に綺麗さっぱり跡形もなかったぞ。」
「相変わらずキャーキャーギャーギャーうるせぇなこいつらは。あ゛ぁ耳いてぇ。」
二人して翠太の置いて行ったパソコンに映る体育館の様子見ていた中島とグッティはそれぞれに反応をみせた。具体的には中島は俺のことを鼻で笑いグッティは文句をつけた訳だが。
「あれ?グッティとか不良クラスってこういう体育館に集まるやついっつも出てなくね?」
「寮とか教室まで聞こえてくんだよ。それだけでもうるせぇのに生で聞ける奴の気がしれねぇ。」
あぁなるほど。と返事をして、俺も体育館の映るパソコンに近づき座っている二人の後ろから覗く。
体育館を埋め尽くす9割ホモの男子生徒達が、舞台に揃い踏みしている生徒会メンバーに向けて個々に愛の言葉を叫んでいる。グッティの言う通り、確かに彼らの自分となんら変わらない低い叫び声は不快以外の何もなでもないが、一歩退いて馬鹿にしてみると案外馬鹿にするにはよかったりする。
「てかさ、さっきから会長なんかこっちの方睨んでね?」
「お前のいい加減な放送が勘に触れたんだろ。お前基本的に会長に嫌われてんだから発言に気をつけろよ。」
「いやまぁ本当に。よく協力してくるようになったよね。」
つい先日会長に直接会った時のことを思い出す。あの日、最後に会長は首を縦に振ってくれた。内心ガッツポーズを高々と挙げいた俺たちだったが、会長はすぐにこう付け加えた。
『俺様がお前らに協力するのはあくまで雄大の為だ。だからもしお前らの行動ご雄大の為にならないと判断したら即刻お前らとは手を切る。いいな。』
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