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中年(?)男性は辺りをきょろきょろ見回す。
何も無い、ただ真っ白な空間。
唯一、自分の存在だけが際立つ。
「あれ、なんで居るんですか!?」
不意に聞きなれた声が後ろの方から聞こえた。
「お前…さっきはよくも俺を殺してくれたな小娘、いや"死神"?」
振り向かずにドスを利かせた低い声色で、脅しを掛けた。
「え…あ…へ?」
彼が自分の事を覚えているのか、それとも一切振り向かず自らの存在を当てられたのか、いずれにせよ相当困惑している。
「最近は神やら何だか人外の奴等の不手際が多いが、どうやらお前もその中の1人みたいだな」
ゆっくりと彼女…死神と呼ばれる存在に向けて首だけを動かし、ゆっくり振り向く。
「ひっ…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!出たぁぁぁぁぁ!?悪霊退散んんんん!!」
彼女は仰天して清めの塩をひたすら振り撒く。
「効かん。つか手、溶けてる溶けてる」
塩を被っても尚平然としている男性は序でに注意を促した。
そこで初めて自分の手を見た死神は度肝を抜かれた様な絶望的な顔をして再度発狂したが「し、死神だから骨なのは当たり前なんだからね!!」とつんでられてしまった。
「へっぽこにも程があるぞ、ちみぃ」
と、微妙な空気に無理矢理突っ込むしかなかった。
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