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『それ飲んだら寝てなきゃダメよ?』
『え?』
散々病院で寝ていたのだけど、それでも聖は私に寝ていろと言う
寝ているのが嫌なわけではないけれど…
少し素直になってみようかしら
『寝てしまうと貴女は帰ってしまうのでしょう?』
今の私にはそれが嫌なのだ
聖が帰ってしまう事が…
そんな私の想いを感じたのか聖は少し微笑んでこう言った
『今日は泊まって行ってもかまわない?』
私が首を縦に振ると、また聖は微笑んで
『よかった』
と呟いた
『あぁ、けどきっと雪那が来るわ。顔を合わせる事になるけれど大丈夫かしら?』
今日は生徒会の大事な会議があるとかで私の迎えには来られなかった雪那
昨日そんな事を言いながら盛大な溜め息を吐いていた
このマンションの事は雪那にも話してあるし、だとしたらきっと会議が終わったらここにやって来るだろう
『会長が?私は構わないけど、会長は大丈夫なの?』
『雪那なら大丈夫よ』
ここにいるのが聖ではなく、藤堂さんなら別だけど…
現にこの事件のあと、雪那は家の力を使って彼女、藤堂さんに手を下そうとした
私が止めなければ今頃彼女はこの世にいなかったのではないかと思う
それほどに雪那は我を忘れていたのだ
そんな雪那を制止するのにも本当に苦労した
制止したと言っても、彼女は…いや、彼女の一族、と言ったほうがいいだろうか
国内からは姿を消している
雪那の一言で、彼女は学園を去らなければいけなくなり、彼女の一族は日本を捨てなくてはいけなくなった
『貴方が止めるから…仕方なくここまでで我慢しているのよ』
吐き捨てるように雪那はそう言っていた
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