Ⅰ:始まりの創まり

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そこには何もなかった。 上下左右の存在しない空間。 真っ暗な闇に沈んだ世界。 そこに佇む、三つの人影。 皓い衣を纏った者が口を開く。 「ここがいいわ」 柔らかな紅い髪がふわりとなびいた。 薄いヴェールを身につけた者は答える。 「えぇ、とても美しいわ」 桃色の口紅が笑みの形に変わる。 瀟洒なローブを引きずって、最後の者が紡ぐ。 「ならば、此処こそが、私達の惑星―ほし―」 優しげな眼差しが何もない空間を見つめる。 そして、三人の声が唱和した。
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