犠牲のなかで

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「ハァハァ…」 何度も道に迷って着いた 啓碁と会った公園 あたしの好きな桜の木 「優助!」 見覚えのあるバイクと探してた人を見つけた 何故かここにいると思った 「胡蝶…?」 今にも泣き出しそうな顔をして 小さく小さく見えた優助 「なんかあったの…?」 あまりにも小さすぎて 「何にもないよ」 弱々しく隣を叩く優助 「座る?」 静かに優助の隣に座る 「会いにいけなくてごめんね ちゃんとケジメつけたくて」 俯きながら微笑む優助 違う 優助じゃない人みたい 誰なの、まるで秀みたいな 「優助」 優助の顔を両手であたしの顔の方に向ける 「優助はちゃんとあたしのことを見て話してくれてたよ 何かあったの?」 優助は驚いた顔をして、そして笑った あたしの手に自分の手を重ねて、手を繋ぐ 「胡蝶…」 何度もあたしは貴方に助けてもらった 今度はあたしが助けるよ 「優助。聞かせて あたしは優助に助けてもらったよ」 優助の顔が苦しそうに歪む 「…お父さんのこと?」 「…っ」 そこまで優しい優助だから多分言わないんだろうな あたしが傷つくと思って 「…お母さんの手紙の中にあの人の遺言状のコピーがあったの」 おばあちゃん達に宛てた手紙の他にあの人の遺言状のコピーが入っていた 声が出なかった 「…遺産は全て愛する子供たち 秀、優助、胡蝶に相続するって あたし達愛されてるんだね」 優助があたしの事を抱きしめる その体は震えてた 「優助…大丈夫だよ 貴方も愛されてる。愛されて生まれてきたんだよ」 多分あたしが優助の立場ならしょうがなく生まれた子供としか考えられないと思う いらない子だって 優助本当に優しいね その優しさに、真っ直ぐすぎる強い優しさに惹かれたんだよ 「…っ…ありがと…っ」 「愛の結晶なんだってあたし達 だからね生まれてきてくれてあたしと会ってくれてありがとう」 震える大きい小さな体を抱きしめる 「今度会いに行こう2人で それなら怖くないよね」
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