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職員室のドアは少し重く、あやうく指をはさむところだった。
文芸部ー私が入りたかった部活。
本が好きな私は、部員数たった5人のこの部に惹かれた。
前の学校にはなかったし。
顧問は確か…松本先生。
一応説明のときにもらった部活案内の紙を確認。よし。
座席表から席を探しだす。…どうやら奥の方に座っている若い女の先生のようだ。
「あの…」
「はい。…見ない顔ね。一年生?」
「いえ、中3です」
「あ、ごめんごめん。私、顔覚え悪くて」
覚えもなにも、ついこの前来たばっかりなんだけど。
「それで、どうしたの?英語の質問かしら」
どうやら松本亜紀ー胸元に名札が付いていたーは英語の先生らしい。
「いえ、文芸部に入ろうと思って」
そういった瞬間、先生は大きな目をさらに見開いた。
「…あらま、どうしましょ。ほんとに!?」
「はい…あ、これ入部届けでs「ありがとおおお!!」「そげぶっ!!?」
急に抱きつかれる。香水だろうか、やけにハイカラな匂いがした。
「…ごめんね?ほら、文芸部って人数少ないじゃない。だから嬉しくって、つい」
先生が微笑んだから、私も思わずわらってしまった。
「部活はね、毎日水曜…ちょうど今日ね。部室棟の4階左奥。プレートが出てるから、すぐわかると思うわ。
部室は完全に文芸部のものだから、ご飯食べたりとかだべったりとか、自由につかってねー。皆毎日入り浸ってるわ」
「はい、ありがとうございます」
「皆仲いいの。学年の壁を超えて。きっと気にいるわ」
いわゆる"アットホームな部活"ってやつか。
私は頭を下げて出て行こうとした。
「ああ、それと」
「?」
「笑ったとき、可愛かったわよ」
かくして、私は文芸部の一員となったのである。
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