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立ち止まり、名乗ろうとした途端に、そう言葉が降った。
驚いて顔を上げると、優しげな笑みを浮かべた、長い髪の少女が…
いや、垂髪と裾の長い寛衣のためにそう見えたのだろう。
“戦神”スン皇子が鹿革表具の巻物を手に、穏やかな笑顔を浮かべて立っていた。
「し、失礼いたしました!」
グィグロは慌てて顔を伏せた。
貴人、特に王族に対しては、挨拶の口上を述べた後、相手の許しを得てからでないと頭を上げてはいけない。五歳の幼児が最初に仕込まれる礼儀だ。
何という失態!
グィグロは唇を噛んだ。感覚がないはずの顔の大鴉までが熱くなったような気がする。
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垂髪(すいはつ)…髪を下ろしたヘアスタイル
寛衣(かんい)…インドのパンジャブ・スーツみたいなのを想像して下さい。服装の格としては、ジャージ上下か、トレーナーにジーンズって感じです。
鹿革表具(しかがわひょうぐ)
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