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鷺谷帷は居心地の悪さを感じていた。
帷は今、飛行機に乗って任務に向かっている。行き先は沖縄。遊びにいくなら是非行きたいが、今回はそうではない。
『難易度A+ 寄生された巨大サメの討伐』
楠木が難易度Cの討伐の代わりに与えた任務だ。
帷と……その隣の座席ですやすや眠るリレイ・ウェネフィクスに。
「はあ……」
帷は先日の一件を思い返した。あの時、ユキムラが犯罪を起こしたと勘違いし、怒った(帷には殺意すら感じられた)リレイに制裁を加えられたのだ。あの悪夢は今でも鮮明に思い出せる。
――俺が誤解してしまったから悪いんだけど……さすがになあ……
あの後からリレイのことが恐ろしくてたまらない。もちろん、リレイが普段から帷を嫌っているわけではない。リレイはあの時のことなどほとんど忘れている。
しかし、帷からすれば一度刻まれた恐怖はなかなか消えてくれない。さらにリレイはただでさえ表情の変化に乏しいため、帷は自分がどう思われているか分からないのだ。
そのおかげで、帷はなんとなくリレイとギクシャクしていた。仕方のないことだろう。
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