~プロローグ~

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 グチャ…、グチャ…。ピチャ…、ピチャ…。  静かな部屋に不気味な音が響く。何かを食しているようだが、"それ"は普通の動物と変わっているようだった。  体毛は薄く、手足はスラリと長かった。肌の色は白いが、今は血が真っ赤に染まって不思議な美しさをまとっている。  グチャ…、ガリガリ…。ピチャ…ピチャ…。  骨まで行くと、ノートに血が付かないよう細心の注意を払い、評論家のような事を書きながら、記録を付けた。  そして、また別の部位を手に取り、血を啜り、肉に歯を当て引きちぎり噛み締める。  口の周りに血がこびりつくのも、人間が食べるのにはあまりにも不作法過ぎるのも、それに伴う汚れも装飾の一つのように、当たり前の行動として"それ"を食べていた。  ピチャ…、ピチャ…、グチャ…、グチャ…。  食べてはノートに記し、また食べる。 *
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