蒼終章 我が名は北条基成

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北条の提案に長考し、そして 開口する、マサムネ。   「基成殿。貴殿の気持ちは 有り難い……。 ……だが、それをしては 私も、オウガイ同様 死者に鞭を打つ様な 外道な行為をする事に なってしまう……。 母と妹を、このまま……。 安らかに眠らせてやっては くれまいか……?」   「……マサムネらしい答えだな。 分かった……」   「済まぬな、基成殿……」   二人静かに、月を眺める。 少しして、マサムネが切り出す。   「……基成殿は、これから どうするのだ?」   「そうだなぁ……。 『紅榛名』探して……、 元の世界に帰れなかったら また考える」   「………………そうか。 ところで、基成殿……。 つかぬ事を聞くが……。 好きな女子(おなご)は 今、居るのか……?」   「ブッ……!」   マサムネの意外な質問に 思わず、パイポを吹き出す北条。   「マサムネ……。いきなり 何を聞く……?」   「あぁ……。いや、貴殿の 戦い振りを見て、好きに なってしまったと言う兵士が 居てな……。 我に、どうしても聞いて欲しいと 言うのだ……。 迷惑な話だろう……?」
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