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〈もしもし?〉
「10分経ったら外に居てね!」
〈え?何?〉
電話の向うで慌てている君、
待っててね、
もう少しで抱きしめてあげられるから。
路肩に止めていた車をまた発進させる。
「ゆの…」
10分の少し前に着いた僕は玄関の前に立って
君が出てくるのを待っていた。
ああ、泣かないで。
玄関を開けて立ちつくす君に近づく、
「うわあー、本物だ」
「うん、本物。」
抱きしめた君の肩に顔をうめながらいう。
「う”ぅー」
「また泣くの?」
「だっで、、、ユノガいるー」
背中の服を酷く握られながらけっこうの時間泣かれた。
「落ち着いた?」
「う”ん」
けっこういい時間になってしまった。
玄関の段差に2人で並んで座る。
「なんで、そんなに泣いてたの?」
「信じられなかったの、ゆのはあたしにまともに会えなくても笑ってるんだもん。あたしは、だんだん笑えなくなってきて、」
そんなわけない。
「こんなに胸が痛かったのに。」
「うん、ごめん。もう大丈夫だよ?ユノの心臓あたしですっごくドクドクするのが分かったから」
「なっ!」
「え?今赤い?赤いの?」
面白そうに顔を覗かせてくる君の顔から逃れるためにそっぽを向く。
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