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「聞いてたのって…俺の目の前で話されちゃあ、聞きたくなくても耳に入ってくるだろ」
「それもそうですね…」
なんとなくいたたまれなくなって、自分のワイングラスをそっと差し出す。
「今の人、知り合いだったのか」
グラスにおかわりを注いでくれるマスターを直視できず、グラスを見つめる。
「知り合いっていうか…昼間、駅でぶつかった人」
できるだけ興味なさそうに答えるが、効果はなかったようで。
「へぇー…お前のタイプ、ドストライクじゃん。よかったな」
「ぶっっ!!!」
確信をつかれ、思わずワインを吹き出す。
「おわ!汚ねえな!」
「マスターが変なこと言うからでしょ!」
「そんなこと言ったって間違ってないだろうが」
「それはそうだけど……」
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