知らない記憶

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「………っ…はあ…はぁ…」 最近、真夜中に突然飛び起きることがある。 「また…見た………」 理由は夢にうなされているからだ。 別に悪夢というわけではない。 けれども、見る度に胸が熱くなり、次第に苦しみへと変わるせいで静かに寝ていられない。 それがこの頃頻度に起こりうるのだ。 「はあ、はあ」 夢に出てくる人の顔は見えないけれど、自分ではない誰かの記憶に入っているような感覚。 こんな過去は知らない。 けれど、何故か懐かしく思えてしまう。 この時代に初めて来た時と同じ。 「私…河原で…遊んでた…」 辺りを見回すと平成の世にあるような大きな建物など一つもなくて、でも自分がそこにずっと昔からいるような感覚を持った。 複雑すぎて頭が混乱してしまいそうになる。 「これは…誰かの記憶だ…。私?いや、違う…」 声に出して自問自答するが、やはりどういうことなのかはまだ分からない。 知ることになるのはもう少し後のことだろう。
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