彼と一緒に恋のレベル上げ

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主任が運転して向かっていたのは、うちで。 どうして? このまま私は家に送り届けられて、主任は宿泊先に行ってしまうの? 確かにもうすぐ日付は変わってしまうけど、でも、まださっき会ったばかりなのに。 「モモ、」 「え?あの、私。……主任の今日泊られる場所までお送りします、けど」 まだ帰りたくない。 その意思表示のつもりでそう答えた。 ところが主任は、 「言いなおし。」 こんなときでも主任は容赦ない。 でもこれを言いなおさないと先に進めないから、 「…ジュンさん。よかったら送りますけど」 「ん。モモ、送ってくれるんだ?」 「え?あ、はい。もちろんです」 だってちょっとでも一緒にいたいから。 どこに宿泊かわかんないけど、そんな遠くのはずはないと思うから。 「じゃ、5分。」 ??? 「5分で準備してきて」 なんの? 送っていくのに、何か準備必要? そして主任は一度考え直したのか、 「……明日もう一度寄ってもいいか。とりあえず今日の分」 「今日の、分?って。あの?」 「そのままでもいいけど、何かと困るんですよね?女の人は」 女の人は何かと困る。 主任はそのままでもいい? またこれ連想ゲームかなんかですか? 「とりあえず、一泊分の準備。5分でしてきて」 「へ?あの、…はい?!」 「早く行かないとこのまま連行しますけど?」 連行とか怖い事を言う主任に。 もう一度瞬きをして見つめる。 一泊分? 誰が? 誰と? どこに?!! 「モモ、聞いてます?」 「え?あ、はい、えと」 「モモがいいなら、このまま行きますよ?」 「え?あの。いや、全然っダメですっ」 慌ててダメって言ってドアを開ける。 そんな私に主任は畳み込むように言う。 「5分経って来なかったら、部屋に迎えに行きますから」 振り返った私が見えたのは、それはもう満面の笑みで楽しそうにいう主任。 やっぱり主任の背景に黒い何かが見えた気がします。 いろんな意味で身の危険を感じた私は5分で用意するべく自分の部屋へと急いだ。
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