1日目 蔵野 香織

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香織の視線の先、そこには先程スーツの男が捨てた鉄パイプを握り左手で汚く伸びた無精髭を摩る男が立っていた。 ここまで異常な事が続く中、その様はより異常に映った。 この男はさっきまで行動を共にしていた男を殺しておいて、それを一切気にも止めていない。 それはあの女性の遺体を前にした時点でわかりきっていた事だったが、こうして目の前で『その現場』を見せつけられるのはまるで別物だった。 目の前には二人の遺体。 目の前には自分を見下ろす髭の男。 絶対的な恐怖が香織を、いや、小屋全体を包み込んでいた…。
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