結婚って?

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日本には美しい四季がある。春夏秋冬。おれは何といっても夏が好きだ。夏にカレーを食べて汗をかく。最高じゃないか。ただキャンプとかああいうのは嫌いだ。だが旅行は大好きだ。よく有給休暇をとっては新幹線で遠出する。普通の日曜日でも浜松で鰻が食べたいと思ったら行っちゃうんだ。独身だからなせる技か。東北方面は殆ど行かない。新幹線が通ってないんだ。現在着工中であと何年かかかるらしい。飛行機は乗ったことがない。おれの給料じゃあ無理だ。国鉄で十分だ。ただもし許されるなら、ボーイング747ジャンボジェットには乗ってみたい。北海道も行ったことがない。青函連絡船に乗るのが面倒だからだ。考えてもみるがいい。上野から青森迄は旅費が惜しいから夜行急行で行く。翌朝着いたら青函連絡船に乗り換えだ。何時間かかるよ。その点南の方は楽だ。新幹線が博多まで伸びてる。時速200キロというから、たいそう速い。おれは独身のうちは旅行を楽しみたいと考えていた。結婚の事など考えたこともなかった。親は両親とも健在だ。俺は現在両親とは別に暮らしている。最初は両親と同居していたがあまりに結婚、結婚とうるさい から、とうとう別居してしまった。まだおれ25歳だぞ。30歳までにできりゃいい。そんなある日、課長から呼ばれ福岡支店に出張するよう言われた。なんと片道は飛行機だ。帰りは新幹線。一泊二日。初の九州入りだ。当日。羽田空港へはモノレールで行った。搭乗手続きをする。席は窓側を指定してもらった。検査場を通過して搭乗口に向かうとすでに飛行機は駐機している。二階建てではないからボーイング747でないことはわかった。おめおめ残念。DC8型という飛行機だそうだ。まあいいや、飛行機に乗れるだけ。搭乗時刻になり、いよいよ搭乗だ。胸が高鳴る。そして機内に入って着席した。外は雨だ。そういえば今日は6月14日。梅雨の真っ只中だ。梅雨前線からの激しい雨が機体を濡らす。やがて搭乗を終え機体が後退をはじめた。いよいよ福岡に向けて出発だ。誘導路から滑走路へ向かう。この間に非常時の説明があった。いよいよ滑走路に着いた。さあ離陸だ。4発のエンジンが唸りをあげ滑走をはじめた。かなりのGがかかる。そして離陸した。
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