4252人が本棚に入れています
本棚に追加
/304ページ
鐘がなった時、俺達はちゃんと訓練場にいた。
「ふぅ…間に合ったな。」
「だな…」
遅れてきた奴らが、テル先生の餌食になった。
「さて、今からは真面目にやれよ。死ぬぞ。」
急に鋭い目になったテル先生。いつもの緩んだ空気とは正反対の、ピリピリする殺気を放っている。
「…今日はまず人形に向かっての初期魔法を10発当ててこい。これは、早さと質を見る。人形は、魔力をちゃんと練らないと壊れないからな。始め。」
しっかりくぎを刺してから、テル先生は俺達を開放した。開放された俺達は、すぐさま1人一体用意されている人形へ走る。
「…ダークボール。」
初期魔法を、なるべく密度の高いきれいな球体にして発動する。それが人形へ当たると、急にボールが大きくなり、人形を飲み込んだ。この間たったの10秒。俺達魔術師は、とても短い時を長く使う。
…最初、この意味が分からなかった。でも、魔法は一瞬をいろいろな術式を組み立てることに使う。俺達は10秒に普通1分かけて行うことを凝縮しないと、死ぬ。それを知った時、俺は意味を理解した。
「テル先生。終わりました。」
俺は自分の持つ属性の初期魔法を全て打ち込み、10の人形をたおして戻った。順位は4位。俺の前に終わっていたのは、上からカイト、ガク、メイ。
「俺達の中で1番がカイトとか…意外だ。ガクだと思ってた。」
「ひでぇ!これでもコントロール練習は毎日欠かさないんだからな!」
「そのせいで勉強がおろそかだがな。」
ガクがとどめを刺した。
「ガク…お前もひでぇ…」
カイトがorzで地面にのの字書き始めた。
最初のコメントを投稿しよう!