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「イテッ…」
静かな倉庫内に響いた小牧課長の声が
主任や小須田課長に届いたかはわからないけど…
精一杯の抵抗をして、
今度は…こいつのポケットの中に入れたUSBと
この前の録音の記録を持って警察に行こうと心に決める。
「湯沢!」
主任が叫ぶ声に、『ここです!』と叫びたいけど、
痛そうにしながらも、私の口元を抑える力が
更に強くなった。
抱え込まれるようになってる姿勢のまま
隙を狙う。
男の人の力で私の両手首を押さえられ、
反対側の手で口元を押さえてる。
せめて片手が空きさえすれば…
ギリギリと両手を少しずつ動かしていると、
掴み方がうまく行かなくなったのか、
力が弱まる。
左手だけがスルッと外れ、
身動きがとりやすくなった一瞬の隙を狙い、
肘を後方へ思い切り引く。
抱え込まれているから、丁度左手肘の位置には、
小牧課長のみぞおち。
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