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あー……見てる。
「せーんせっ」
「せんせーっ」
見てるよなー……そこから。
俺をちくちくと刺しているのは、気配で察することが出来る、痛みを感じるほどの強い眼差し。
「先生ってどんな生徒だったのー?」
「先生の家って学校の近くなんでしょー?」
強い眼差しとは対照的に向けられる甘え声もなおざりに、横目でちらりとそこを見た。
……うん。
ほら、やっぱり。
「ね、先生って彼女居るのー?」
「あっ、馬鹿こずえっ。そんな直球に聞いたら先生も吃驚するじゃーんっ」
窮屈な授業の後の開放感にざわめく教室の一角で、きゃらきゃらと黄色い笑いが湧く。
あー、……やばいな。
またあの目してるし……
「でも、結局皆聞きたいのはそこだよねーっ」
内心焦りと戸惑いに落ち着かない俺を取り囲み、「ねーっ」と複数の黄色が綺麗に重なった。
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