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先に教室を出ていた大きな瞳のその人に続こうと、鳴り終わるチャイムを流し聴きながら、 授業中佇んでいた窓際から教壇を横切ろうとした俺を、凄まじい勢いで女子高生が取り囲んできた。 「あ、あのさ……」 黒板を背に追い詰めてくる女の子達を見下ろし、質問攻撃を打破すべく口を開いたものの、 「でっ、でっ! 結局の所どうなんですか!? 先生っ」 好奇と期待に満ちるいくつもの瞳に、阻まれてしまった。 「ど、どうって言われても……」 その質問に正直に返答していいものかどうか戸惑いつつ、もう一度ちらりと教室の入り口を見遣る。 あー、ほら……もう目据わってるって…… 俺を遠目に待ち受ける視線と確実に見交わし合ったところで、 「……先生。私は先に戻ってますから……」 薄っすらと開く瞼の奥のその瞳に助けを求めようとした俺に向けられる声は、……妙に冷めていた。 「えっ、あっ、かっ……」 呼び止める間も無く、冷めた声に見合った視線が外されると、長い髪を靡かせる横顔は、颯爽と廊下の向こうへと消えていってしまった。
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