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「惺珸くん、もう一杯どうだい?」 「すみません、いただきます」 赤ら顔のお父さんからビール缶を受け取って、惺ちゃんはプルタブを開けた。 プシュという小気味良い音が漏れた。 「やっぱり男の子はいいわねー」 冷えたビールを美味しそうに飲む二人を見ながら、お母さんは満足そうに微笑んだ。 「そうだな、こうやって飲むのは父親としての憧れでもあるしなー」 お父さんも嬉しそうにしている。 まあ、前から事あるごとに惺ちゃんを息子に欲しいって言ってたくらいだしな......。 束の間の親子体験を両親が喜ばないはずはないと確信した。 ......というか、ソレがしたくて泊まりなさいって言ったんじゃ。 うん、あり得る。  「それにしても、一年ちょっとぶりかしら? 急に大人っぽくなって見違えたわー」 「働き出せば、もっと変わるぞ。男は特にな」 両親は惺ちゃんの成長を本当に我が子のように喜んでいるようだった。 そして久しぶりに会った惺ちゃんの大人っぽさに、前ほど無邪気に話しかけられない自分がいた。 笑顔に変わりはないのに、惺ちゃんのふとした仕草が見知らぬ人のようにも感じさせた。  
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