8人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
ーー淫魔(いんま)。
淫らな事を好む悪神。
悪神ではあるが一応、神族である。
あたしは淫魔として産まれた。
産まれたその時から性の使い手だ。
幼い頃は自分が淫魔である自覚はなかった。
見た目も人間と変わらないせいか自分が神の子である事をさほど気にした事はなかった。
大人になるにつれ、体の成長と共に目覚める性への欲求。
異性を意識し、異性を求める。
そして……。
淫魔として成長する体。
男を虜にし魅了する悩ましげなボディ。
スラリと伸びた手足。
豊満な乳房。
張りのあるお尻。
誘惑する唇。
甘えん坊な瞳。
自分で望んだ体ではない。
運命に与えられた体。
あたしは運命の歯車に逆らえない。
艶めかしく妖艶な体は罪だ。
男を求める体は卑猥以外の何者でもない。
淫魔とは人間の本能を剥き出しにした人間の欲望が生み出した化身で出来た神なのかもしれない。
今あたしは人間として暮らしている。
人間の欲望を得るには人間の姿が一番好ましいと幼い頃より教育を受けてきた。
人間の性に対する欲望があたしの生きる糧。
生きる源なのである……。ーー
最初のコメントを投稿しよう!