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かつて、世界は一度滅びた。 科学が発展した前文明の時代、全世界を巻き込んだ大戦が勃発した。 兵器が大地を焼き、多くの生命が失われた。 数多の国が、都市と共に滅びた。 しかし、生命は滅び去りはしなかった。 大戦を生き延びた人々は、廃墟の上に新たな街を築き大地を再生して行った。 瓦礫の中、一番最初に街が造られたのがこのガイラス・シティだった。 それはリバースタウンと呼ばれ、後に文明再生の象徴となった。 リバースタウン建設のリーダーとなり、その後の発展にも尽力した男はガイラス・グランフェルといった。 彼は、リバースタウンに一つの会社を創った。 例え何十年、何百年掛かろうとも、『世界を再生』することを目標に掲げて…。 それが、ディオニスの始まりだった。 少しずつ、ゆっくりと…。 街が、社会が、国が、文明が、再生されて行った。 それと同時にディオニスも発展して行った。 そして、大戦からおよそ二百年を経た現在。 人類は前文明以上の発展と繁栄を築き上げていた。 リバースタウンはグランフェルの名にちなみ、ガイラス・シティと呼ばれるようになった。 ディオニスはガルドセルドのみならず、世界各国に拠点を持つ世界最大の複合企業グループとなっていた。 ディオニスはまた、『世界をいかなる災厄からも守る盾となる』と言う理念のもとに独自の軍を有していた。 陸・海・空からなるこの軍はシールド・アーミーと呼ばれ、その軍事力は各国の国軍をも凌ぐものとなっている。 ディオニスのCEO(最高経営責任者)は、『総帥』と呼ばれ、グランフェルの直系のみが務める事を許されていた。 グランフェルを名乗る事を許されているのもまた、直系の一族のみだった。 総帥の影響力は計り知れず、各国政府すらその意向を無視できない。 ディオニスの本社はガイラス・シティの中心地サンティ区にあって、その敷地面積は100万㎡ にも及ぶ。 本社ビル及び各種関連会社のオフィスビルが立ち並び、D′sガーデンと呼ばれていた。 ガルドセルドの首都はシティの北、大陸中央のテスターナ州テスターナだが、世界経済の中心地はこのガイラス・シティだった。
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