第一章 二番目の男

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夏休みに向けての試験が終わり、試験結果が学園の壁に貼り出される。 ここは道華学園高等部。 一学年8クラス構成、生徒数は各学年320名。 一般的な進学校だ。 道華市の最南端に位置し、ここらの地域ではトップクラスだ。 まぁ俺は家から遠いのを理由に選んだのだが。 「タツマは結果見に行かないの?」 前の席の男子が振り向いて声をかけてくる。 この馴れ馴れしい男は俺の幼馴染み。 家が隣で、小さな頃は良く一緒に遊んでいた。 俺が遠くの学園を受験し、寮に入ったのはコイツと少しでも離れたかったから。 恐らくコイツは俺と親友のつもりなんだろう。 勘弁して欲しい。 俺はコイツが嫌いだ。 神堂 新 シンドウ アラタ 何をしても一番。 成績優秀、容姿端麗、スポーツ万能。 絵に描いたような主人公。 そう、コイツは主人公なのだ。 何をしても一番。 性格も良くて常に中心にいる。 コイツが違うのならば誰が主人公なのだろう。 俺も一応は成績優秀、容姿端麗、スポーツ万能に分類される自信はある。 若干の自惚れは否定出来ないが客観的に見てもそうなのだ。 良く言われる。 神堂が居なければ一番なのに。 ついた渾名は“二番目の男”。 全く。 嫌になる。
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