違和感

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中年で小太りの教師が念仏のように教科書を読み上げる中、窓側の席で校庭に叩きつける雨音を聞きながら片手で携帯を弄る私。天気予報でも雨だと言っていた筈なのに今更になって傘を忘れていた事に気づき溜息を零す。午後の授業も全て終わり友達との何でもない会話を簡単に済ませ、雨に濡れながら家路に着いた。 帰宅後急いで濡れた服を脱ぎ寝間着に着換え、脱いだ服をその辺りに放り投げてはタオル取りに脱衣所へと向かう。棚から取り出したタオルで濡れた髪を拭いながら台所へと足を運んだ。扉を開けると、いつもの定位置に座る祖父の姿があった。 「こるく、もう学校終わったんか。」 「うん、終わったで。」 「お爺ちゃんまたこれ買って来たから、食べや。」 指を差された小さめの冷蔵庫の上を見れば、そこには数個の「すうどんでっせ」と書かれたインスタントのカップうどんが積まれていた。私が好きだと言ったその素朴な味のうどんは、毎日欠かす事なくこの家に運び込まれている。何度も同じものを食べさせられては飽きが来ると言う物。 「ありがとう。」 しかし心臓病を患っていた為1人では危ないからと数年前に越してきたばかりで、未だに途中から一緒に住み始めた祖父に強く当たれない自分は、反抗期を迎えていてもぎこちなくも穏やかな態度でその場を凌いだ。
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