首狩りの断罪者

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  突如として鳴り響いた携帯電話の着信音のような音楽に、彼女は体ごと驚く。 「ほぉら、来た」 断罪者はポケットから嬉しそうに携帯端末のような物を取り出すと、香奈に見せびらかすようにそれをひらひらと振ってみせた。 手のひらサイズの端末の画面には、はっきりと『白神 香奈』という名前が表示されている。 「わた……し……?」 「殺人を犯した者は、身体に埋め込まれたチップから本部に情報が送信されて、こうやって断罪者の持つ端末にデータが送られるんだよ」 彼は嬉しそうな、かつ馬鹿にしたような笑みを浮かべ、罪無き仔羊を見下して両手を広げる。 「おめでとう! 案の定、既に君は殺人犯扱いだ!」 「……ッ!!」 香奈の憎しみが籠もった視線も、ゴミ捨て場の野良猫の視線程度にしか思われていないのだろう。 そして、その直後、そんな非情なる彼から差し出された手に、香奈は戸惑いを隠せなかった。 「逆雷 隼人(サカライ ハヤト)だ。死ぬまでよろしくね、白神 香奈」 「くッ……!」 悪戯っぽく微笑む断罪者・隼人を睨みながら、香奈は彼の手を強く握った。  
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