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彼女と出会ったことは、今でも鮮烈に記憶に残っている。
なんせ衝撃的な出会いだったのだから。
あれは、そう……高校の入学式当日の日。
「やっべぇ、遅刻だぁあああっ!」
高校生活最初のイベントだというのに、俺はその日思いっきり遅刻していた。
目覚まし時計をセットしておいたのだが、アラームが鳴らなかったのだ。
おかげで朝食を食う時間が無く、俺は通学路を全力で疾走することに。
初日から遅刻だなんてダサすぎる。
「ちくしょうっ……!母さんめ、起こしてくれたっていいのに……っ!」
息子の晴れ舞台なんだ、それくらいしたってバチが当たらないだろう。
放任主義にも程がある。
「はぁ……っ、はぁ……っ!」
呼吸を乱しながら、ポケットから携帯電話を取り出して現在時刻を確認する。
ダメだ、このまま走っていても絶対に間に合わない。
皆勤賞を狙うと決めた初日にいきなり遅刻は、正直笑えない。
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