Key Ring 02-takaya

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「まあ、大丈夫ですよ。案外誰も信じてないですから」 重野はやけに楽しそうだ。 「お前なぁ‥‥人事だと思って」 「いえいえ、先輩。そんな事言ってますけど俺に感謝した方がいいですよ?」 「なんだよ?」 「先輩に恩売っとこうと思って、安藤さんの妄想癖ヤバい説流しておいてあげましたから」 重野よ‥‥お前を敵に回したくないよ。 「だから、先輩。今週末空けといて下さいね」 「‥‥なんだよ。今週末って」 「友達企画の合コンです。参加してくださいね」 「合コン‥‥面倒臭い‥‥」 「じゃあ、安藤さん被害者説流しましょうか?安藤さんが騒いでる今なら簡単だろうなぁ‥‥」 「分かったよ。行けばいいんだろっ」 こいつ、安藤加奈子ばりに厄介だな。 「あっ、今厄介って思いました?」 「‥‥別に」 やっぱり敵に回したくない。 「いやー良かった。先輩の写メ見せたら呼べってうるさくって」 「重野、俺の写真全部消してくれ‥‥」 「えー?嫌ですよ。他の人も映ってるし。第一面倒です」 「そういう奴だよな‥‥お前は」 安藤加奈子のお陰で、しばらく知らない女は懲りた。 今は尚更、合コンなんて面倒臭いもん避けたかった。 狡賢い重野にやられたな‥‥ 乗り気じゃない合コン。 待ち合わせの店に着くまでは。 「‥‥‥‥‥‥」 大きな釣り目に、俺の姿が映っている。 その目を見つめ返すと急に楽しくなってきた。 そういえば、まだ名前を知らなかっな。 だから、彼女が苛立つくらいの笑顔でこう言ってやった。 「こんばんは、お隣さん」 案の定、彼女は毛を逆立てた。 可愛いな。
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