1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
第1章「旅立ちの時」
ドォーン…ドォーン……
満天に輝く星空を かき消すように、大砲の爆音が休みなく響いていた。
ドォーン…ドォーン…ドォーン……ドォーン…
草むらの中で座り込み、ボロボロで煤けた袴や鎧を着た男達は、必死に その爆音に耐えていた。
中には耳を押さえ 目を瞑り 震える者もいる。
(いつになったら…砲撃が終わるんだ…)
(眠りたい…眠りたい…)
みんな そんな事を無言で考えていた。
「お前ら! 何をそんなに怖がってんだ! しっかりしろ!」
突然 聞こえてきた怒声に、皆 振り返った。
黒い洋式の服に 身を包み、髪を後ろに流した男が、震える彼らの後ろに
数人の部下を従えて、仁王立ちしていた。
「副長……。」
ボロボロの男達は、口々にそう呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!