第1章「旅立ちの時」

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第1章「旅立ちの時」

ドォーン…ドォーン…… 満天に輝く星空を かき消すように、大砲の爆音が休みなく響いていた。 ドォーン…ドォーン…ドォーン……ドォーン… 草むらの中で座り込み、ボロボロで煤けた袴や鎧を着た男達は、必死に その爆音に耐えていた。 中には耳を押さえ 目を瞑り 震える者もいる。 (いつになったら…砲撃が終わるんだ…) (眠りたい…眠りたい…) みんな そんな事を無言で考えていた。 「お前ら! 何をそんなに怖がってんだ! しっかりしろ!」 突然 聞こえてきた怒声に、皆 振り返った。 黒い洋式の服に 身を包み、髪を後ろに流した男が、震える彼らの後ろに 数人の部下を従えて、仁王立ちしていた。 「副長……。」 ボロボロの男達は、口々にそう呟いた。
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