鶏肉を取りに行く的な旅

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道中、イズールがあの後どうなったかを説明した。 手柄は何だかんだで勇者にとられたが、代わりにギルドランクSになれたと。 明日、勇者の送還儀式が行われるそうだ。 もしかして、それに便乗したら俺も帰れるんじゃないか? そうも思ったが、生きたままこちらへ来たシンジは、元々向こうに存在する人物。 対して俺は、向こうでは既に存在しない人物。 つまり、送還儀式に便乗しても、向こうに帰る事は叶わない。 そういう事だ。 それを教えてくれたのはウェルで、実際ウェルも試みたらしい。 だが、世界に拒絶されこちらへ戻されたそうだ。 まあ、どの道帰った所でな… 会いたい人も、待っている人もいないしな。 「…聞いてるのか?ハルキ」 何かイズールが俺に語りかけていた様だが、思案に耽っていた為聞き逃した。 「悪い。何だっけ?」 ため息を吐き、イズールは先程語っていた内容について再度話だす。 「勇者の帰還に伴って、”世界グルメ大会”が開かれるそうだ」 ほう。 それは興味深いな。 「それでだな。お前も焼き鳥屋を出店してみたらどうだ?」 それはいいかもしれない。 一気にネームバリューが上がりそうだ。 「面白そうじゃのぅ~。ハルキ!出場するのじゃ!」 俺よりやる気満々なウェル。 どうせ目的は他に出店してくる店の料理なんだろうけどな。
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