当初の目的を忘れたら終わり

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内心酷く焦っていると、入江さんが私の目をしっかりと見据えながら口を開いた。 「ここまで連れて来ておいてなんだが、伊達は何かしら新撰組に関わっているのか?」 「え、新撰組……ですか?」 「ああ。お前を追って来ていたのは新撰組の監察方だったからな」 ……は?……監察方? ちょっ、監察方!!? 「えっと……私はただの被害者です。新撰組とは全く関わりはないですよ」 「……そうか」 何とか事実を述べるが、ぶっちゃけ頭パニックで倒れそうだ。 何で監察方なんかが私を追って来てたんだよ…? 土方は私にはもう用がない……筈、っていう考え事態が間違ってんのか…? 「あー…、じゃあ、私も訊いてもいいですか?」 「ああ。構わない」 長身の入江さんの目を見て、思い切って訊いてみる。 「ここは何処なんです?」 「? 長州藩邸だが?」 「あぁ、長州藩邸ですか……」 ……って、ん!? きょとんとした顔をしながら入江さんが言った言葉は……よくよく考えるとアレだ。 さっきまで新撰組の屯所に居た私からしたら、敵のアジトに来た気分。 まぁ高杉がここに居るだろうから、この考えはあながち間違っちゃいねーけどさ。 ってか、何で高杉は私を殺ろうとしたんだ…? 確かに暗殺現場を目撃してしまったけど、でも誰を殺したのかまでは見てないし、高杉が私を口封じさせようとしてる意味が分からない。 ここから推測出来るとしたら、高杉はあの現場で人に見られてはならない何かをした。そして高杉は私がそれを見たと思っている。 うわー、誤解解きてェ! ……一番いいのは高杉に会わずにここから出る事だけども。 「あの、入江さん。もう一つ訊いても…?」 「ああ。何だ?」 「あくまでも私の推測ですけど、まさか誰かに頼まれて私をここまで連れて来た訳じゃありませんよね…?」 どこか眠そうな目をした入江さん。 私を女だと見抜いて、尚且つ女だからと助けてくれた入江さん。 あの時は焦ってたから入江さんを頼ってしまったが、今考えれば入江さんの真意が読めない。 あそこで私を助けて、一体入江さんに何のメリットがある? 本当に女だからって理由で助けてくれたのか……ふと疑問に思った。 ……うん。疑問に思うの遅くね?ってツッコミは無しで宜しく💧
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