6/6
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
鷹見の視界の隅に、自軍ベンチでブルペンに電話をかける投手コーチの姿が映る。 やめろ。 鷹見は祈る思いだった。 やめてくれ。まだ降りたくない。まだ俺の時間のはずだ。 熱気のないスタジアム、消化試合の負けゲーム。 それでも鷹見にとっては、「こんな試合」ではなかった。 プロの野球選手であることにしがみついていられるかどうか。 このマウンドにかかっているのはそういうことだった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!