白の天使と黒の死神

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7月の始め、蝉が早すぎる登場をして、気温も遠慮を知らず上がり続ける中、俺は田んぼ道を1人で歩いていた。 夏の日の夕方は素晴らしい。風に揺れてたなびく稲も、淡く燃えるオレンジの夕焼けも、全てが幻想的で儚く、どことなく俺をノスタルジックな気分にさせる。 人の通りもなく、車の音もしない。あるのは黄金の稲と、まっすぐ伸びる道しかない。そんな風景が、俺は大好きだった。 ところで、俺は一昨日あるジブリ作品を見たのだが、これがまた傑作だった。 それはもう20年以上も前の映画なのだが、ボーイミーツガールなストーリー、空をテーマにした愉快な冒険活劇は、やはり何回見ても面白い。 それを幼い頃から見ていたからか、俺はそのシチュエーションに憧れすら抱いている。最初は主人公が好きなだけだったのだが、気付いたらこんな感じである。 さあ、何で俺が急に具体的な名前を出してまで映画の話をしたのか、疑問に思う人も多いのではないでしょうか? その理由はいたって単純明快である。 上空から白いワンピースを着た女の子が落ちてきたのだ。
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