No,4

14/77
5221人が本棚に入れています
本棚に追加
/309ページ
愛斗さんは俺が泣き止んだのを見計らって、体を起こして座らせてくれた 涙は止まったものの、未だスンッスンッと鼻を啜る俺 気を抜いたら泣きそう 「ホンマ…すまんな、朔」 下を見る俺に泣きそうな声で謝る愛斗さん その声にそっちを見ると、愛斗さんは眉を下げて今まで見たことない顔をしていた どうして…泣きそうなの 「さっきの、悔しいって何ですか」 俺には聞く権利があるはすだ 目でそう言うと、愛斗さんは躊躇いがちに口を開いた 「朔が転校生に2回も傷付けられてもうた 1回目ん時に守るって言うたのに… 守れんかった」 愛斗さんは手をギュッと握ると、下唇を噛みしめた 拳が強く握られたせいで、指の隙間から血が流れた 「自分が情けない、悔しい、腹立つ…」 「っ、そんな…」 「俺がもっと早よう駆け付けとったら良かった せやったら朔も傷付かんかった」 ついに愛斗さんの頬に涙が一筋伝った 愛斗さんは涙を拭かず、ただ耐えていた 「そんで…、こんな自分が朔の事好きでおってもええんか思えて来て いっそのこと嫌われてまお、思て…」 そして又すまんと言った愛斗さん 愛斗さんも愛斗さんなりに色々悩んでいたらしい しかし だからと言って許すか!! __パチンッ 「っ、」 「愛斗さんの大馬鹿野郎!!」 ジンジンと愛斗さんの頬を打った掌が痺れた 赤く染まった愛斗さんの頬と俺の掌 流石に殴れはしなかった 「傲るのも好い加減にしてくださいっ!!」 叫ぶと、愛斗さんは目を白黒させた けれど俺は気にしない 寧ろ若干アホっぽくて良い気分だ 「愛斗さんは超人じゃないんだから、そんな何でもできなくて当たり前です!! それは俺も皆も全員そうだし、知ってる事じゃないですか!! それを悔しく思うのは勝手ですけど、俺を理由にしないでください!! 俺は愛斗さんの事、そんな凄い人だなんて思ってません!!」 そりゃ確かに仕事も勉強も運動だってできて、更に族の総長だなんて凄い事だけど だからって何時も人の危機に駆け付けて、その危機から救ってくれるスーパーマンみたいな人だなんて思ってない つかそんな事よりも 「それに!! 愛斗さんを好きか嫌いかは俺が決める事です!! 勝手に好きでいて良いかどうかなんて決めないでください!! それを決める権利は俺だけのものです!!!」 俺的にはこっちのが重要だ 俺は簡単に離れて行けるような、そんなに軽い存在だったのかと思えて その事の方が傷付く .
/309ページ

最初のコメントを投稿しよう!