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……それでも、まあ。
「そういう日も、あるわね。」
誰に聞かせる訳でも無く、ただ呟いた。
プログラムも穴が有れば作動しないわ。
咲夜だって、機械じゃない。
いつかきっと別れの来る、一つの命よ。
――なんてね。
起きて早々重たいわ、私。
慣れない事が起きたものだから、動揺してるのかしら。
私の身体には無駄とすら思える程大きなベットから降り、確かな一日の始まりをその身を持って感じる。
布団は……まあ、そのままでもいいか。
どうせ朝方になれば綺麗に整えられているから。
直接見た訳では無い。
だが咲夜が言われずともそうしてくれていると、私はなんとなく知っていた。
彼女に甘えてる訳では無いけど……。
だらしないのは決して良い事じゃない。
それでも、まあ、いいわ。
それがメイドの仕事だと、私の開き直りにより布団は乱れたまま放置された。
「んーっ。」
固まった身体を大きく伸ばす。
このえもいわれぬ感覚が私は堪らなく好きだった。
足の先、翼の先に神経が通るようで、最高に気持ちがいい。
「あら。」
カーテンを捲り窓の外を見ると、金色に輝く月が目に入る。
綺麗な円形の、黄金の月。
今日は満月だったのね。
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