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前方から光が出ている。こちらの目を潰そうと何かが活気立っているのかも知れん。
にしても眩し過ぎて目を開けられない。
「カズ!凛!」
さらに声を出すことは出来ても、身動きが取れない。どうなってんだ?
だがそれも長くは続かず、光は薄れ何とか動けるようになり、辺りを見渡した。が、そこで俺が見たのは学校からの下校路ではなく、修学旅行で行ったことのある教会みたいな建物の中の壁や長椅子だった。
近くにはカズと凛、二人もちゃんといた。二人が立っているのを見て俺は倒れた状態から身を起こした。
「ノリ、お前も大丈夫だったか」
カズが安堵したようにこちらを向きながら告げた。
あんな金縛り状態だったので、手足を動かしてみるが、痛み等は特に無かった。
「一応大丈b」
「お待ちしておりました、トモカズ様、リン様-----」
いきなり俺の発言を遮られた上に俺の名前だけ呼ばれないってどういうことなの?っていうかなんでカズの名前知ってるの?
「・・・まぁ、お呼びしたのは二名だったはずですが」
修道服を着た十代辺りの女子が、俺を睨んでくる。
身長や態度に見合わず、臆病者な俺は、身の危険を感じつつも咄嗟に出た言葉は
「あ、貴女誰ぞ?」
だった。今思えば、この時には色々という事があったろうに、情けなし。
「私の結界を通り抜けたとは・・・もしや、魔王の遣いですか!?」
眼を見開いて驚愕するシスター。いや知らねぇよ、というのが素直な所だ。
どうせ魔王が世界を侵攻していてヤバいんでしょ?知ってるねん、それ。
周りにはいつの間にか大勢の人だかりが出来ていて、ざわ・・・ざわ・・・と擬音が付きそうにざわついていた。というか魔王とかもう中二病だろ。とっくに卒業したからそういうの。
「中二乙」
俺は自分の心境をそのままに言うと、凛が話しかけてきた。
「んっと、もしかしてノリはあの場所に行ってないのかな・・・?」
かもね、と苦笑いする凛。
「は?あの場所?知らん」
夢なら覚めてほしい。一刻も早く。さっさと帰ってアニメの続きを見たいからな。
「・・・ノリ。はっきり言った方がいいかな?」
不安そうな顔で俺を見つめる凛。
「いや、何をだよ?夢オチってこと?」
何だその曖昧な顔・・・まるでこれが現実みたいじゃないか。
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