いわゆるプロローグ

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   俺こと鈴村匠は、ごく普通の・・・それこそ人混みに埋没しそうな男子高校生だ。 特別勉強が出来るわけでもなく、スポーツに秀でているわけでもない。 顔が良いということもないし、何か特技があるかといえば、そんなものを持ち合わせているわけでもなく。 強いて言うなら、ちょっとラノベとかのサブカル系が好きなぐらいだ。(それだってクラスに一人はいる、オタク趣味のやつの知識ほどでもない)  そんな俺は今、怪しい空間にいる。 周りが真っ白で、上下左右も分からないくらいだ。 自分ひとりしかいないのか、と思ったら、何やら急に”神様”って雰囲気のじいさんが目の前に現れた。 このじいさん、見た目が漫画によく出てくるタイプの神様とそっくりだった。 神様かも・・・って思っても仕方ない気がする。 「鈴村匠よ。お主、別の世界で生きる気は無いか?」 なんて思ってたら、その”神様”かも知れないじいさんがそんなことを言ってきた。 よくある異世界トリップ系のラノベの導入みたいな言葉に、俺って死んだっけ?という疑問が浮かぶ。 そういえば、この真っ白空間で意識が目覚める前、車が突っ込んできた気がする。 となれば、その時俺は死んでしまったということなのだろうか。 運転手に対して怒りを覚えるが、じいさんの言ったある言葉がひっかかった。 「別の世界?」 俺自身、よく異世界トリップ系は読んでたし、中にはアニメ化したものもあったから、映像として見てもいた。 でもそれはあくまで2次元だからだし、ああいう物語の主人公というのは結局、本当の一般人とは違う存在なのだ。 思わず訝しそうな感じの声を出してしまった。 .
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