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――えっ……。
俺は今、打席へと立つバッターに戦慄を覚えた。
夏の甲子園高校選抜決勝。
九回裏。
先攻の俺達は一点勝ち越し、相手をツーアウトまで追い込む。
しかし、相手方もそのまま黙っておらず、その後ヒットを二本立て続けに打たれ、得点取得圏内にランナーを進まれてしまう。
仕方なく俺達は敬遠でバッターを見送り、満塁策で次のバッターと勝負することに。
そんな窮地とチャンスが入り乱れたタイミングで、相手方も代打を送り込み、満を持して勝負を仕掛けてきた。
どちらにとっても敗れることのできない戦い。
勝負を託された代打は、ギラギラとした目でピッチャーである俺を睨み、バッターボックスへと立つやいなや――
キャッチャーを人質にとった。
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