2573人が本棚に入れています
本棚に追加
/483ページ
「おいコラッ! 何考えてんだよ!」
「い、いやぁ……昨日はちょーっと寝付けなくってさ。そ、それに、ホラ! クエスト達成したよ。凄いでしょ?」
「それがどうしたんだ! それでお前にもしもの事があったらどうするんだ」
「ご、ごめん……」
柄にもなく声を荒げつつ、俺がそう叱り付けると、彼女はしおらしく俯いてしまった。
「まぁまぁ、フウも反省してるみたいだしさ。その辺で許してあげたら?」
直後に背後から声が掛かった。
振り返ってみると、山小屋の入り口の扉に背をあずけ、腕組みをする我らがパーティーリーダー、魔術師(ウィザード)の優等生ことリクの姿があった。
リクは全身をすっぽりと覆う灰色のローブから顔だけを出して、いつもの優男スマイルで笑いながら言葉を続けた。
「それに、フウのおかげでクエストも楽に終わったしさ。あぁ、そうだ」
リクはわざとらしく何かを思いついたような顔を浮かべると、パーティーメンバー全員に一つの提案をした。
「そうだ、帰ったらみんなで何か食べにいかないか?」
ピクッ
食事の話題が出た瞬間、フウの身体が微かに動いた気がした。
最初のコメントを投稿しよう!