最終話 『天使の館』

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樹利と可愛は、パリスを乗せた車が見えなくなるまで見送り、ふう、と息をついた。 「……行っちゃった」 そう漏した可愛に、樹利はそっと肩を抱いた。 「また、しばらく泣き暮らす?」 その言葉に、可愛はクスリと笑った。 「もう、大丈夫だよ。 なんたって私達は忙しいんだから。 そうそう明日だけど、靴を作りたいって人の予約が三件も入ってるの」 「最近、靴だけのお客さんも増えたなぁ」 「うん、靴は男性客も多いよね。樹利の靴は一度履くと病み付きになるって」 「そういえばエステだけのお客さんも増えたよな。可愛のエステは病み付きになるって」 二人は顔を見合わせ、笑い合った。
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