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―奴等が寝静まるのはまだ先か...。-
私は上着の内側を上着を押さえるようにして、中にある物を確認した。ズシリと服の上からも確認できる重みを感じる。
私は遂行せねばならない。あの男が用意してくれたこのチャンスを逃すわけにはいかない。だが、あいつの思惑通りに事を運ぶのは気に障る...。どうしても奴の命令通りに動いて上手くいく様には見えない。
-私には、あいつに罰を与えてやればそれで良いのだが...。―
お膳立てをしてもらった手前、行動せねばならないが、腑に落ちない点もいくつかあるにはあった。だが、それで報酬の一部と罰を下せるならとも思った。2つの選択肢の狭間で、気持ちが揺らいでいる。時間は迫っている。急がねばならない。
自分には、もう後など残されていないのだから...。
奴の部屋の前で、もう一度深く息を吸い、そして吐く。
自分の思うようにやってしまおう。
私はドアをノックしその時を待った。...が。応答がない。どうしたのだろうか?
あいつはとっくに計画を実行しているはずなのに、応答がないなんて...。その時、ふと館の中の明かりが消えた。
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