プロローグ

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暗闇に見えているのは寸歩先の未来。  母は天から授かった物だと言った。  父はきっと天性の才能だと言った。  僕は呪われた能力だと思った。 僕は物心着く頃に視力を失った。先天性のものらしいと母から告げられた。物が見れなくなる前に色々な物を見せられた。いつか見れなくなる前にとの計らいだと分かっていながらにして、僕はそれらをきちんと焼き付けておく事は出来なかった。 いつか見れなくなる世界なら最初から見えなかった方が幸せだと思ったからだ。今でも後悔している。もっと父の顔を、母の顔を見ておけば良かったと。心から後悔している。 父は刑事だった。立派に職務を勤めていたから、父はある任務中に殉職した。母はその理由を一切明かさずに病気に臥した。 そして一つも父の死の真相を伝えられる事も無く、母は病気に負けた。  僕は、たぶん。知らない方が幸せだったに違いないけれど、でも。 母や父を愛しているなら…。本当に愛しているなら、知らなければいけなかったんだと思う。 僕は、父の死の真相を知る為にこの力を使う事にした…。 コークアイ。 僕の瞳の色でもある色。言葉で表すとするなら…孔雀色と言うのだろうか…。深い青にも見えるし緑にも見える。人間界で作りえない色をしている。 色的に判断するなら嫌いな色じゃない。むしろ好きな色だ。こんな能力がなければ! さて、物語は早秋の月の頃になる。 僕はあの発作に見舞われていた。未来視を起こす時は決まって発作を起こし頭に映像がフラッシュバックする。 また、今日も頭の中が真っ白になって行く…。部屋が見える大きな…エントランスだ…。
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