第1部 第1章 何かの手違いで勇者になったオタクたち

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       1 「え~ここでP(x)のxに(x-3)の3を代入します。なぜ3なのかと言うのはx-3=0のときに-3を移行してx=3になるからです」 「ふぁあぁぁぁぁ」 永板紀人(ながいたのりと)はあくびをしながら数学の授業を受けていた。眠たいのは午後の授業ということもあるが何よりも昨日夜から徹夜やっていたお姉さん系エロゲー『私があなたを包み込んであげる(はーと)』をやっていたのが響いている。午前はそうでもなかったのだが午後にきて限界が来たようだ。 永板紀人ーー彼は勉強も運動も普通のどこにでもいる高校2年生である。いや、訂正しよう。どこにでもはいない。なぜなら、彼のように『姉』という分野に関して三次元にしても二次元にしても全てを知り尽くすような高校生はそうはいない。 特徴といえばそんな姉オタク以外に少しぽっちゃりしているということぐらいだろうか。 姉オタクである紀人は数学の授業を聞き流しながら、徹夜でしていたエロゲーで途中までのヒロイン攻略をどうするかうつらうつらなりながら考えていた。 (んー、志奈乃さんはSっぽくて実は恋愛に関してはMになるよなー。だから、あそこの選択肢を帰らせないにすれば絶対、セ○クスに持っていけるな。でもタイトルが包み込んであげる、なのに志奈乃さんだとこっちが包み込みにいくようなもんだよな。まぁ、直前でセーブしてるからやり直し聞くだろうけど。……はっ、まさかトゥルーエンドが二つあってMエンドとSエンドとか!?) などと考えている。よく眠たいのにそこまで頭が回るなぁとかは気にしないでおこう。 キーンコーンカーンコーン 紀人がエロゲーをどう攻略するか考えていると、本日最後の授業の終わりを告げるチャイムが校舎になり響く。それは学校の終わりを告げるものでもあった。 「え~では今日はここまで、明日は土日なので先ほど配ったプリントをしておくよう」 数学の担当(メガネかけていて弱そう)はそういうと教室を出ていき、紀人は先ほどのプリントをカバンに雑に入れる。 「お~い紀人今日どうする?」 カバンを閉め帰る用意をしていた紀人に1人の生徒が話しかけてきた。
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