プロローグ・狭間の世界

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夢を見ていた。 暗闇のなかを、どこまでもどこまでもずっと、ずうっと落ちていく。 ゆっくり、ゆっくりと、はてしない闇の底へ。 怖さは、ない。 漆黒のなかにうもれていくほど、なぜか、心地よい暖かさを感じる。 このまま黒に飲み込まれて、消えてしまうかもしれないのに。 ただただ、眠りに落ちていくように。静かに、淡々と。 そう、これは夢。 夢なんだ。 瞼を開ければ儚く崩れ、やがて忘れてしまう刹那の泡沫。 いいことも、わるいことも、すべてがなかったことになる。 それでいい。 わたしは、それで。
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