5人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
夢を見ていた。
暗闇のなかを、どこまでもどこまでもずっと、ずうっと落ちていく。
ゆっくり、ゆっくりと、はてしない闇の底へ。
怖さは、ない。
漆黒のなかにうもれていくほど、なぜか、心地よい暖かさを感じる。
このまま黒に飲み込まれて、消えてしまうかもしれないのに。
ただただ、眠りに落ちていくように。静かに、淡々と。
そう、これは夢。
夢なんだ。
瞼を開ければ儚く崩れ、やがて忘れてしまう刹那の泡沫。
いいことも、わるいことも、すべてがなかったことになる。
それでいい。
わたしは、それで。
最初のコメントを投稿しよう!