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「まったく……ゼウス様はいつもいつもお姉様たちがいないときに私をこき使うんですから………」
「あ、あの……ミカエル様?」
「ふぇ?あれ?ガブリエルじゃないですか。どうしたんですか?」
「「……………」」
この時ばかりは黒が同情した。なんでこんなのが上司なのだろう、と
「あ!もしかしてこれが見えなくなってる原因ですかね?」
そう言って薄い半透明の膜をツンツンといじるミカエル
「っ!?」
黒は驚く。当然だ。『触れることのできない膜』にミカエルが触れているのだから
この『インヴィジブル』の強みは『触れられない』『外側から見えない』『出ることができない』だ。そして全てが可能になるのは『術者が許可をだした時』のみ。つまり黒が許可を出さなければ触れられないし、見えないし、出ることもできないのだ
解除方法はただ一つ。術者、すなわち黒を倒さなければならない
なのに、だ。目の前の一見バカそうなどこか抜けてそうな天使はどうだろう。普通に触れているではないか。これだけで黒のミカエルに対する警戒が強まる
「…………てめぇ、なにもんだ」
「…………」ブツブツ
ミカエルはブツブツ言っているだけで、無視。完全なスルー
当然黒は怒る
「………なにもんかって………聞いてんだろォォォォォォォ!!!」
ガブリエルに放った伸縮自在の腕よりも何倍も疾く、太い腕がミカエルに伸びていく
「ミカエル様!」
ガブリエルが叫ぶが時すでに遅し
ミカエルに腕があたろうかという刹那ーーーー
「もう、うるさいですよ!」
ビシッ!
「「………は?」」
再びシンクロする黒とガブリエル
当然だ。ガブリエルなら瞬殺してしまうほどの『死』がミカエルに迫ったのにもかかわらず、ミカエルはそれを『背中の翼だけで払い除けた』のだから
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