いままで

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
母は、生まれつき体が弱かったらしい。 俺を産んでさらに悪化したみたいで、俺はベッドの上で横になっている母さんしか覚えていない。 母さんはいつも青白い顔で、骨と皮しかないような細い腕で、俺を力なく抱いていた。 でも、それで充分幸せだった。 毎日祖母に連れられて母に会いに行っていたし、家では年の離れた姉がよく遊んでくれた。 寂しいと思ったことも、自分が可哀想だと思ったこともない。 だって、これが俺の日常だったから。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!