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「そんな……事
初めて言われた」
強張っていた手の力が抜けた。
「やっぱり
男の人なんだね
嵐」
そう言って俺の腕にコツンとおでこをぶつける。
俯いて動かないナツさんに体を向けて抱きとめた。
「………好きなら
いいな、って思ってた。
嵐のお店の仕事する様になってから」
ナツさんが自信なさげに呟いた。
「涼しい顔してたけど本当は
どきどきしてた。
あの雨の日とか、特にね」
俺は腰を折って顔の位置を合わせた。
「ナツ……」
呼びかけようとしたら
「好きだよ、嵐」
ナツさんが笑った。
「…………俺も」
それに応えると
ナツさんは子どもみたいに
泣きながら笑った。
そんな彼女を腕の中に閉じ込めて
ぎゅっと抱き締めた。
*END*
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