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みっちゃんは僕のこの『完全記憶能力』を知っている数少ない人間の一人。
だからこそ断言出来るのだ。
僕が見間違える事なんて100%起こらないと知っているから。
「遙輔、何が見えた?」
二人が怖がっているというのにこういう話をするのは気が進まないが、みっちゃんの目は真剣そのもので、どうやらみっちゃんの探求心に熱い炎が点ってしまっているようだ。
点火したのも恐らく僕自身なのだろうけど、その熱意のこもった視線に負けて僕はさっき見た『何か』についてを口にする。
「……窓の外、ここから見て一番右側、そこに長い髪の毛のようなものが風に揺れて……」
「無理無理無理無理無理!死んじゃう!あたし死んじゃう!」
僕の背中に顔を埋めたまま激しく左右に顔を振る藍那ちゃんに、僕はただただ苦笑いするしかない。
それとは対照的に、みっちゃんは僕が言った事を確認する為、一番右側の窓から身を乗り出して左右を確認、すぐにそれをやめて振り返るが浮かない顔をしていた。
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